「会議の話が早すぎて、メモが追いつかない…」「聞きながら書けないから、いつも重要なことを聞き逃してしまう」「パソコンでのタイピングも間に合わないし、もうどうすれば…」
議事録の担当になったものの、高速で進む議論についていけず、焦りやプレッシャーを感じている。こうした悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
重要な情報を漏らしてしまわないかという不安、うまく議事録が取れないことへの焦り。その気持ち、よくわかります。しかし、安心してください。その悩みは、決してあなた一人のものではありません。
この記事では、「議事録のメモに追いつけない」という喫緊の課題を解決するため、その原因から具体的な解決策までを徹底的に解説します。読み終える頃には、なぜ今まで追いつけなかったのかが明確になり、次回の会議からすぐに実践できる具体的なコツや、自分に合ったメモの取り方、そしてスキルアップのための練習方法まで理解できるはずです。もう議事録で悩むのは終わりにしましょう。
なぜ議事録メモに追いつかないのか?よくある3つの原因
まず、なぜ会議のメモに追いつけなくなってしまうのか、その原因を明らかにしましょう。能力の問題だと落ち込む必要はありません。多くの場合、原因は以下の3つのいずれかに当てはまります。
1. 完璧主義:発言を一言一句すべて書こうとしている
最もよくある原因が、「完璧な議事録を会議中に作ろう」としてしまうことです。発言者の言葉を一言一句もらさず記録しようとすると、話すスピードにタイピングや筆記が追いつかないのは当然です。「てにをは」まで正確に書こうとしているうちに、次の重要なトピックに移ってしまい、結果的に大事な部分を聞き逃してしまいます。
2. 思考の停止:知らない単語や論点が分からず手が止まる
会議中に専門用語や知らない略語、前提がわからない議論が出てきたとき、「えっと、今のどういう意味だ?」と考え込んでしまい、手が完全に止まってしまうケースです。思考が停止している間にも会議はどんどん進んでいくため、一気に話に置いていかれてしまいます。これは「議事録を聞きながら書けない」と感じる大きな要因の一つです。
3. 準備不足:会議のゴールが分からず何が重要か判断できない
会議のアジェンダ(議題)に目を通さず、その会議が「何を決定する場」なのかを理解しないまま参加していませんか?会議のゴールが分かっていないと、会話のすべてが同じ重要度に見えてしまい、情報の取捨選択ができません。結果として、些末なやり取りまでメモしようとしてしまい、肝心な決定事項やネクストアクションを書き留める余裕がなくなります。
もしあなたが「自分は仕事ができないから議事録が取れないんだ」と思い込んでいるなら、その考えは今すぐ手放しましょう。「議事録が取れない」「間に合わない」という悩みは、個人の能力というよりも、メモの取り方という「技術」や「戦略」を知らないことがほとんどです。
正しいやり方と考え方を身につければ、誰でも必ず「追いつける」ようになります。まずは、完璧を目指す必要はないということを受け入れるところから始めましょう。
【心構え編】まず変えるべきは「全部書く」という意識
具体的なテクニックの前に、最も重要な心構えの転換についてお話しします。それは、議事録メモは「完璧な記録」ではなく「要点の抽出」であると理解することです。
議事録の本当の目的は何でしょうか?それは、後から参加者全員が以下の点を正確に共有できることです。
- 何が決定したのか(決定事項)
- 次に誰が何をいつまでするのか(ToDo、担当者、期限)
- 議論の経緯や背景(なぜその決定になったのか)
つまり、会議中の雑談や、結論に関係のない発言をすべて記録する必要は全くありません。この目的を常に意識することで、「何を聞き、何をメモすべきか」が自然と見えてきます。「会議中に100%の完成品を作る」という考えを捨て、「会議中は要点を押さえることに集中し、後で清書する」という前提で臨むだけで、心に大きな余裕が生まれます。
【事前準備編】会議が始まる前で8割決まる!メモを劇的に楽にする3つの準備
「議事録を早く書くコツ」は、会議中だけにあるのではありません。むしろ、会議が始まる前の準備段階で勝負の8割は決まっていると言っても過言ではありません。以下の3つの準備を徹底するだけで、会議中の負担は劇的に軽くなります。
1. アジェンダを読み込み、ゴールと論点を予測する
会議の招待メールや資料に添付されているアジェンダ(議題)には、必ず目を通しましょう。そして、各議題で「何が話し合われ、最終的に何が決まるのか」を予測します。ゴールが分かっていれば、そこに至るまでの重要な発言にアンテナを張ることができます。
2. 参加者リストを確認し、役割を把握する
誰が参加するのかを確認し、「この人は決定者」「この人は現場の意見を言う人」といった役割を把握しておきましょう。特に、最終的な意思決定権を持つ人の発言は重要度が高いため、聞き逃さないように意識を集中させることができます。
3. 議事録のフォーマット(テンプレート)を事前に用意する
毎回ゼロから議事録を作成するのは非効率です。事前に「会議名」「日時」「場所」「参加者」「議題」といった基本情報を入力したテンプレートを用意しておきましょう。会議が始まったら、議題ごとのセクションにメモを書き込んでいくだけで済みます。これにより、会議中は議論の内容に100%集中できます。
【実践テクニック編】会議中に焦らない!早く書くためのメモの取り方とコツ
事前準備が整ったら、いよいよ会議中の実践テクニックです。ここでは「議事録メモの取り方」に関する具体的なコツを紹介します。すべてを一度にやろうとせず、できそうなものから試してみてください。
5W1Hを意識して聞く
情報を整理する基本フレームワークである5W1H(When:いつ、Where:どこで、Who:誰が、What:何を、Why:なぜ、How:どのように)を意識して話を聞きましょう。特に議事録では、「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつまでに)」というToDoに関する情報が最重要です。
キーワード、決定事項、ToDoを最優先でメモする
前述の通り、すべてを記録する必要はありません。会話の中から「キーワード」を拾い、それをつなげて後から文章にするイメージです。特に以下の情報は、最優先でメモしましょう。
- 【決定】と書いた後に、決まったことだけを簡潔に書く。
- 【ToDo】の後に、「誰が・何を・いつまでに」をセットで書く。
- 【確認】として、宿題事項や保留事項をメモする。
自分だけの記号や略語を使いこなす
メモのスピードを上げるために、記号や略語の活用は必須です。これが「議事録を早く書くコツ」の核心部分です。頻出する単語や状況を自分なりのルールで短縮しましょう。
記号・略語の例 | 意味 |
---|---|
◎、決、✓ | 決定事項 |
☆、T | ToDo(タスク) |
?、確 | 要確認事項、不明点 |
→ | 原因と結果、話の流れ |
自、A社 | 自社、A社(企業名) |
(株)、(同) | 株式会社、合同会社 |
MTG、PJT | ミーティング、プロジェクト |
このように自分だけの議事録略語リストを作っておくと、思考を止めずに素早くメモが取れるようになります。
不明点は「?」をつけて後で確認する
会議中にわからないことがあっても、その場で考え込んではいけません。わからなかった単語や話の横に大きく「?」マークをつけておき、会議の流れを追い続けることを優先しましょう。その「?」は、会議の最後に質問するか、終了後に詳しい同僚に確認すれば良いのです。
【手段別】パソコン vs 手書き あなたに合うのはどっち?追いつかない時の対策
「議事録をパソコンで取ろうとしても追いつかない」「手書きの方がいいの?」というツールに関する悩みも多いでしょう。ここではパソコンと手書き、それぞれのメリットと、追いつかない場合の対策を解説します。どちらが良い・悪いではなく、自分に合う方法を見つけることが大切です。
パソコンで追いつかない人へ:効率化のコツ
「議事録のタイピングが追いつかない」と感じる方は、スピードを上げるよりも「打つ量を減らす」工夫をしましょう。
- 単語登録機能の活用:「ぎじ」と打てば「議事録」、「おつ」と打てば「お疲れ様です。」と変換されるように、よく使う単語やフレーズをPCに登録しておきましょう。
- テンプレートとショートカット:事前準備で用意したテンプレートを使い、見出し間の移動やコピー&ペーストはショートカットキー(Ctrl+C, Ctrl+Vなど)を徹底します。
- キーワード入力に徹する:文章を完璧に打とうとせず、単語や短いフレーズだけを箇条書きで入力していく方法です。後で清書する際に、それらのキーワードを繋げて文章にします。
手書きでメモを取るコツ
「議事録は手書きで」という方もいます。手書きの最大のメリットは、図や矢印、囲みなどを使い、情報の関係性を視覚的に、かつスピーディーに表現できる点です。思考を止めずにアイデアを書きなぐることができます。
- ノートを分割して使う:コーネル式ノート術のように、ページを「板書エリア」「キーワードエリア」「要約エリア」に分割して使うと、後から見返したときに情報が整理しやすくなります。
- 色分けで情報を整理:「決定事項は赤」「ToDoは青」「発言者は緑」のように、ペンの色で情報の種類を分けると、視覚的に重要なポイントが把握しやすくなります。
ハイブリッドという選択肢:パソコンと手書きの使い分け
「議事録をパソコンと手書きのどちらで取るか」で迷うなら、両方を組み合わせるハイブリッド方式もおすすめです。例えば、会議中は思考の整理がしやすい手書きでメモを取り、会議後にPCで清書するという方法です。これにより、両方のメリットを享受できます。
結局のところ、パソコンと手書きのどちらが優れているかという議論に絶対的な答えはありません。重要なのは、あなたにとって「思考を止めずに、ストレスなく要点を記録できる」のはどちらか、という視点です。
タイピングが得意ならPCが早いでしょうし、図解で理解するタイプなら手書きが向いています。両方を試してみて、自分が最もスムーズにメモを取れる方法を見つけることが、追いつかない悩みからの最良の出口となります。
【スキルアップ編】「議事録が取れない」を克服する具体的な練習方法
これまでのコツを実践しても、すぐには完璧にできないかもしれません。議事録作成はスキルであり、練習によって上達します。「議事録が取れない」状態から抜け出すための、具体的な練習方法を紹介します。
1. ニュースや講演動画で要約練習をする
テレビのニュースやYouTubeの講演、ポッドキャストなどを1〜3分間視聴し、その内容を要約する練習です。これは「聞きながら要点を掴む」という、議事録の核となるスキルを鍛えるのに非常に効果的です。誰が、何を、どうしたのかを簡潔にまとめる練習を繰り返しましょう。
2. 短い社内ミーティングから担当してみる
いきなり長時間の重要な会議で議事録を担当するのはプレッシャーが大きいものです。まずは、部署内の短い定例ミーティングなど、比較的プレッシャーの少ない場で練習を積みましょう。失敗を恐れずに挑戦できる環境で経験を積むことが大切です。
3. 上手い人の議事録を真似る
上司や先輩が作成した分かりやすい議事録は、最高のお手本です。どのような構成になっているか、どんな言葉で要点がまとめられているか、略語や記号をどう使っているかを分析し、良い点を積極的に真似してみましょう。そして、自分が作成した議事録を先輩にレビューしてもらい、フィードバックをもらうことも非常に有効な練習方法です。
【発展編】最終手段!テクノロジーで「聞きながら書けない」悩みから解放される
どうしてもメモが追いつかない、重要な会議で絶対に漏れが許されない、という場合には、テクノロジーの力を借りるのも賢い選択です。
最も手軽で効果的なのは、会議の音声を録音しておくことです。ICレコーダーやスマートフォンの録音アプリを使えば、後から聞き返して内容を確認できるという絶対的な安心感が得られます。ただし、録音していることに甘えて会議に集中しなくなるのは本末転倒なので注意しましょう。
さらに進んだ方法として、AIによる文字起こしツール(Notta、CLOVA Noteなど)の活用があります。これらのツールは、録音した音声データを自動でテキスト化してくれます。これにより、議事録作成の時間を大幅に削減できます。ただし、AIの文字起こしは100%正確ではありません。固有名詞や専門用語を間違えることも多いため、あくまで「下書き」として活用し、最終的には自分の目で見て、耳で聞いて、正確な要点をまとめるという作業が不可欠です。
まとめ:自信を持って議事録に臨むために
今回は、「議事録のメモに追いつけない」という悩みを持つ方に向けて、その原因から具体的な解決策までを網羅的に解説しました。
- 追いつかない原因:完璧主義、思考停止、準備不足が主な原因。能力の問題ではない。
- 心構え:「全部書く」意識を捨て、「要点抽出」に集中する。議事録の目的は決定事項とToDoの共有。
- 事前準備が8割:アジェンダの確認、参加者の把握、テンプレートの用意で会議中の負担を激減させる。
- 実践テクニック:5W1H、キーワード優先、記号・略語の活用でメモを効率化する。
- 手段の選択:パソコン・手書きのメリットを理解し、自分に合った方法を選ぶ。タイピングが追いつかないなら「打つ量を減らす」工夫を。
- スキルアップ:要約練習や上手い人の真似で、スキルは着実に向上する。
- テクノロジー活用:録音やAI文字起こしツールを「補助輪」として賢く使う。
「議事録を聞きながら書けない」「メモが追いつかない」という悩みは、正しい心構えとテクニック、そして少しの練習で必ず克服できます。この記事で紹介した内容を参考に、まずは次回の会議で「テンプレートの準備」と「自分なりの記号を使ってみる」ことから始めてみてください。小さな成功体験を積み重ねることで、次第に自信を持って議事録に臨めるようになるはずです。
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